C,A,ワークス一宮スタジオについて

 2013年、NPOの設立趣旨に私たちはこう記した。

 『昨今、地域における「コミュニケーション不足」が問題になっています(高齢者の孤独死、子どもの異変に近所の人も気づけないなど)。地域で人どうしのふれあいが激減しており、これを改善することは急務です.』

 以来、演劇的な手法を通して、人と人のつながりをつくる社会教育活動を続けてきた。

 昨年からのコロナ禍により、世界は様変わりした。新しい生活様式の掛け声のもとに新語がいくつも生み出され、人と人の距離を取ることが推奨された。3蜜回避、ソーシャルディスタンス、リモートワーク、「おうち時間」・・・。結果、人と人との、体温を感じられるつながりは、ますます希薄になった。

 今年の1月15日、中日新聞夕刊に私は文章を寄稿した。演劇を通して人が集える場を愛知県にもつくりたい、という趣旨の文章であった。これを読んで一宮の商店街が声を掛けてくれた。商店街の一角にある空きビルを使ってスタジオを作ってはどうか。スタジオが起爆剤になって人の流れが商店街に少しでも戻ってきたらうれしいから、と。私たちNPOはこれまで活動拠点となる建物を持たずにきた。公民館を賃借りして活動してきたものの、コロナ禍により利用時間が厳しく制限されていたので、一宮の商店街からの申し出に応じる決意を固めた。「C,A,ワークス一宮スタジオ」、今年9月にオープンする予定である。

 このスタジオのメイン事業は、所謂「芝居の制作」ではない。演劇的な手法を用いた各種ワークショップを、あらゆる年代の一般市民に向けて提供する。演劇ワークショップをメインに据えたスタジオは、全国でも類をみない試みである。

 広場、という言葉が私たちの念頭にはある。あらゆる年代の人が気軽に集う場所。家庭と職場に次ぐ第3の居場所。普段の自分を離れて見知らぬ人と出会うことで、生きている手応えを回復する場所。そんな広場をつくり、これまで積み上げてきた社会教育活動を更に前へ進めていきたい。

 スタジオ造り、ワークショップ講師の手配、全国でも類をみない新たな試みを広く的確に広報してゆく活動・・・。思いを形にするには、いくつものハードルがある。しかし、コロナ禍だからこそ、人と人とのつながりがより一層希薄になっている今だからこそ、やる価値のある試みだと私たちは考えている。