CAワークス一宮スタジオ、オープン。

9月5日、CAワークス一宮スタジオがオープンしました。緊急事態宣言中ということもあり、関係者のみの内覧会という形でオープニングイベントを挙行しました。

来場してくださった方にお配りしたパンフレットの中に「ご挨拶」の文章を書きました。以下に採録します。


ご挨拶

特定非営利活動法人C,A,ワークス

理事長 兵藤 友彦


 2013年、NPOの設立趣旨に私たちはこう記した。

 『昨今、地域における「コミュニケーション不足」が問題になっています(高齢者の孤独死、子どもの異変に近所の人も気づけないなど)。地域で人どうしのふれあいが激減しており、これを改善することは急務です.』

 以来、演劇的な手法を通して、人と人のつながりをつくる社会教育活動を続けてきた。

 昨年からのコロナ禍により、世界は様変わりした。新しい生活様式の掛け声のもとに新語がいくつも生み出され、人と人の距離を取ることが推奨された。3蜜回避、ソーシャルディスタンス、リモートワーク、「おうち時間」・・・。結果、人と人との、体温を感じられるつながりは、ますます希薄になった。

 今年の1月15日、中日新聞夕刊に私は文章を寄稿した。演劇を通して人が集える場を愛知県にもつくりたい、という趣旨の文章であった。これを読んで一宮の商店街が声を掛けてくれた。商店街の一角にある空きビルを使ってスタジオを作ってはどうか。スタジオが起爆剤になって人の流れが商店街に少しでも戻ってきたらうれしいから、と。私たちNPOはこれまで活動拠点となる建物を持たずにきた。公民館を賃借りして活動してきたものの、コロナ禍により利用時間が厳しく制限されていたので、一宮の商店街からの申し出に応じる決意を固めた。「C,A,ワークス一宮スタジオ」、今年9月にオープンする予定である。

 このスタジオのメイン事業は、所謂「芝居の制作」ではない。演劇的な手法を用いた各種ワークショップを、あらゆる年代の一般市民に向けて提供する。演劇ワークショップをメインに据えたスタジオは、全国でも類をみない試みである。

 広場、という言葉が私たちの念頭にはある。あらゆる年代の人が気軽に集う場所。家庭と職場に次ぐ第3の居場所。普段の自分を離れて見知らぬ人と出会うことで、生きている手応えを回復する場所。そんな広場をつくり、これまで積み上げてきた社会教育活動を更に前へ進めていきたい。


 6月6日に公式ホームページに載せた文章である。ここに述べられている思いにいささかの揺らぎもない。原点回帰。スタジオオープンにあたって再掲する所以である。

 1月15日、中日新聞に文章を書いて、およそ半年で「一宮スタジオ」という形になった。スタジオが出来上がるまでには、たくさんの人が力を尽くしてくれた。商店街の方たち、8月に入ってくれたボランティアの人たち、ほんとうにありがとう。

そして演劇関係の方々。床を貼り、鉄管を通し、照明を吊って、防音設備を作ってくれた。手を動かすに従って、少しずつ、でも着実に劇場が立ち現れていく様子に僕は目を瞠った。みなさんの力添えがなかったら、スタジオは決してできなかった。感謝しても感謝しきれない。

ここに集まってくれた皆さんは、この半年、いっしょに汗をかいた仲間だ。まずは今日、オープンの日を迎えられたことをともに喜びたい。

演劇をやっているといつも思う。人と人がともに在ることは、本当に難しい。真にやりとりを成立させることは、本当に難しい。コロナ禍がそれに拍車をかけた。こんな時代だからこそ余計に思う、ムキになって思う。手応えを伴った、人と人とのつながりを実現する場所に、この一宮スタジオがなりますように、と。

本日はお越しいただき、ありがとうございました。


 半年間、大変だったという思いが滲む文章です。オープンから数日たって、ようやく興奮が冷めつつあります。器はできた。次は何を盛り付けてゆくかを考えていかねばなりません。上記の文章がきれいごとで終わらぬよう、精魂傾けて運営をしてゆく所存です。